-
心臓の病気と言われたときに必要な知識~心臓のハンデを克服して世の中で生活していくスキルを身につける
心臓の病気を持っている人が健康な人と同じように生活すると容易に心不全を来してしまいます。
心不全とは心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。
肺の周りや中に水がたまり、地上にいるの窒息して溺れているような状態になります。
回復するために体力を消耗し、心不全を繰り返すたびに衰弱して死に近づいていきます。つまり心臓病の成れの果てが心不全ということです。
心臓病とそれに伴う心不全は癌に次いで日本人の死因の第二位となっています。
そして心不全患者は毎年1万人ずつ増加しており、心不全患者の2人に1人は循環器専門医の診療を受けていないのが現状です。
専門医の診療を受けることができない場合もある現状では、自分の心臓の病気がどのようなものであるかを理解し、心不全にならないためにどのような手段が必要かを知り、実践することは自分の身を守るための必須の知識となりつつあります。
心臓病の人が心不全を来してしまう理由として挙げられる主なものは
1)食べ過ぎ、飲み過ぎ(塩分や水分の摂り過ぎ)
2)運動や寝不足による過労
3)インフルエンザや肺炎などの感染症
4)薬の飲み忘れ
とされ、これだけで心不全によって入院する原因の2/3を占めるという報告もあります。
この4つをみてお気づきになった方もいるかもしれません。
そう、生活習慣のコントロールで心臓病の人が心不全を回避することができる可能性があります。
実際に生活習慣の改善がいかに重要であるか示した報告があります。
心臓病の人が、生活習慣を改善することはどのような薬よりも効果が高いと言うことが示されています。
心不全予防は手術や薬だけでは不十分で、心疾患を持っている人が、自分の病気を理解し、生活習慣や生活環境を自分の心機能にあわせて調整し続けるための知識を身につけ、実践する必要があることが様々な臨床研究で報告されるようになりました。
しかし、現在の医療現場ではそのような知識を身につける場がほとんどなく、検査、処方以外何もなされていないことがほとんどです。
いまの日本では少しずつそういった知識を伝える教育の取り組みは始まっているものの、心不全の知識を得るための教育を外来で行っている病院は総合病院のうちのわずか7%にすぎないとされています。(Circ J 2019; 83: 1546 ー1552)
なぜでしょうか。
医師の外来は3分診療と揶揄されるように、患者数が多くとても病気についてゆっくりお話しすることはできません。
また、知識を持ったスタッフが常に外来にいるわけでもありませんので、心臓病の知識を系統立ててお伝えすることは現在の医療システムでは困難であることが現実です。
また、医療従事者側の問題だけではなく心臓病を抱えている方は長時間の移動や、長時間の講習に参加すること自体が困難な方も多いのも事実です。
実際に患者様を集めて話をしたとき、利尿剤を内服している患者様は30分に1回はトイレに立たれるため、落ち着いて話を聞くことができなかったと嘆いていらっしゃいました。
心臓病の知識を得ていただくためにはやはりそれなりの時間をかけねばなりません。
今回のセミナー内容もそれなりに絞ったつもりですが、かなりの時間になってしまっています。
時間がない病院側と時間がかけられない心臓病の方が対面で心臓病の知識を伝えることがいかに困難であることを考えると、好きな時間、好きな場所で(入院中のベッドの中でさえ)しっかり知識を伝えることができるオンラインセミナーは心臓病の知識を得るために最もふさわしいツールといえるでしょう。
オンラインで行いますので
【時間】と【場所】を選びません。
あなたの学びたい時間に、いつでも。どこでも。
学びたい場所で受講可能です。
パソコンやスマートフォンでも受講可能で、繰り返し学ぶことが可能です。
オンラインセミナーを通じて、心不全で苦しむ人を少しでも減らしたい、このセミナーはそんな私のチャレンジでもあります。
本セミナーを受講対象は以下の方々です。
1)心臓病の方
2)心臓病を持つご家族がいる方
3)心臓病に携わる医療関係者の方で心不全指導士や心臓リハビリテーション指導士を目指している方。
本セミナーを受講することで以下のことができるようになることを目標にしています。
○自分の心臓病について理解できる。
○心臓病についての知識を正しく得る方法を身につける。
○自分の心臓病の治療法にどんなものがあり、自分に合った治療法を考えることができる。
○自分がなぜその薬を飲み、どのように付き合っていけば良いかを理解することができる。
○心臓病が悪化して心不全にならないための食事を理解できる。
○心臓病を持っていてもどれだけ趣味(旅行やスポーツなど)や日常活動ができるか理解できる。
○心臓病で利用できる社会的資源がわかる。
○心臓病で最期を迎えるときに何が必要なのかを理解できる。
○資格試験に必要な知識の整理ができる。
本セミナーは
1)正常な心機能のしくみ
2)心臓の病気にどんなものがあり、どのような治療法があるのか
3)心臓の病気になったときにどのようにしたらよいのか(疾患別、心臓病一般)
を現役の循環器医師である私が実際に診療してきた経験と、診療ガイドラインなどの最新情報を交えてレクチャーしていく予定です。どの部分も一つで完結するように20-30分程度で構成する予定です。
全部通して視聴しなくても、ご自身の気になる項目だけを視聴して、自由に知識を深めていただければと思います。
本セミナーを心臓病の方やそのご家族に少しでも視聴していただくことで、心不全に苦しむ方が少しでも減ってくれることを願って。日産厚生会玉川病院 循環器内科
小野 剛